一見、ADHDに見える子供、幼児がいます。その子供たちをじっくり観察したり、いろいろな場面での様子をきいていく内に、自閉症スペクトラム上のものとして理解される側面を持っていることに気づくことがあります。
また、幼児期にADHDの診断を受けた子供たちが、小学校中学年から高学年になる頃には、広汎性発達障害または高機能自閉症の診断に変更になることがあります。そのため、ADHDと自閉症スペクトラムの関連を押さえておく必要があると常々思っていたところです。
あまりしっかりと扱った本がないので、貴重なリソースとなると思います。
“The Adhd-Autism Connection : A Step toward More Accurate Diagnoses and Effective Treatments” By Kennedy, Diane M., Banks, Rebecca.
ADHDと自閉症の関連がわかる本 田中 康雄 明石書店 2004-05-10 |
The ADHD-Autism Connection: A Step Toward More Accurate Diagnoses and Effective Treatments
WaterBrook Press 2002-03-19 |
<目次>
- 第1章 母親の使命——このつながりのどこがそれほど重要なのですか?
どうやってつながりに気づいたか
避けられる悲劇
自己イメージもしくはセルフ・エスティームの低さ
見逃される双極性障害
この先何をなすべきか - 第2章 まずは定義から——自閉症スペクトラムと注意欠陥障害の間のかすかな境界線
自閉症とはどういう障害で、アスペルガー症候群とどう関係するか?
ADHDとは
自閉症というラベル - 第3章 自閉症とADHDのどちらだろう——類似は偶然ではない
患者集団と診断法の類似点
僕、ぶきっちょなんだ:運動能力障害の類似点
触らないで!:感覚反応の奇妙さの類似点
類は友を呼ぶ:共存症の類似点
似た者同士:実行機能と中心的な障害の類似点
言っている意味がわかんないよ:コミュニケーション障害の類似点
どうして僕はみんなのように遊べないのだろう:社会性の障害における類似点
僕は駄目な子なんかじゃない、うまくコントロールできないだけだ:行動の類似点
大同小異:行動反応の類似点
さて、それではどうしたらいいでしょう? - 第4章 現行の診断法の問題点——ADHD診断法がいかに誤診へつながっているか
主観的判断:早期介入の第一の障害物
遺伝学研究:自閉症研究者が先導する道 - 第5章 変わっていく自閉症の姿——幼児期から思春期までの発達段階
幼児期から3歳まで
3歳から6歳
6歳から12歳
12歳から17歳 - 第6章 職業と人間関係——ADHDもしくはアスペルガー症候群を持つ成人
成人にみられる対人関係の問題
実は、見た目よりずっと大変
結婚しているカップル、俗に言う不思議なカップル
ADHDもしくはアスペルガー症候群患者がいる家庭の子ども
助けを求める:何が有効か - 第7章 ADHDと自閉症の治療——外観
言語治療
行動、ソーシャル・スキルに対する治療とアプローチ
身体的アプローチ、療法
薬物療法
中枢神経刺激薬
抗不安薬
「ハイブリッド」薬
抗うつ薬 - 第8章 勝 利——ADHDと自閉症のある人々のユニークな功績と達成への賛美
共通して挙げられる有名人
脳への考察 - 結 論 新しい始まり
最近のメディアの傾向 - あとがき