子どもの成長を通じて、子どもにどのような側面をはぐくみたいのかというと、自信や自己肯定感というものではないかと考えています。
この「自信」を子どもにつけさせるということについての話を聞くときに、常に違和感が生じます。それは、「自信」が成功体験を通じてもたらされるという考え方があるからです。成功することによって、「自信」が生じ、「自己肯定感」が生まれるということは、当然であり、異論がないという感じを持つこともあるでしょう。
しかし、少し考えて見てほしいのは、「成功」というものはすべての子どもには用意されていません。つまり、人数分ないのです。そのため、成功して自信がつくという考え方の問題点は、「限られた人にしか自信を提供できない」ということにあります。
また、何を持って「成功」というのでしょうか? その到達点にたどり着くために、努力をしていくことになります。残念ながら、それでも試合に負けることもあるでしょうし、入選にもれることもあるでしょう。そのような人に対しても、「成功体験を通じて自信がもたらされる」という考え方は不適切なのです。
実は、自信は、周りが認めることによって、はぐくむことができます。周りの人々が、できたところまでを認めることによって、もたらされることは可能なのです。「ほめる」ということの大切さへの主張につながることでもあります。
逆に、どんなにいい成績を取っても、どんなに足が速くても、「世界は広い、おまえなんかまだまだだ」といわれることで、そのようなことを「成功」として認めないことだってできてしまうのです。
成功もする必要もなく、賞を取る必要もありません。自信は、自分の子どもの手の届くところにあります。是非、自分の子どもを認め、ほめてあげることを実践していってほしいと思います。
自信のある子どもは、苦難を乗り越える力を身につけるのです。これは、その子どもの人生にとって、大きな贈り物となることでしょう。