柄谷行人の「哲学の起源」を読み終わりました。
内容も手応えのあるものでしたが、それよりも、この本を書いている柄谷さんの動機について、考えていました。
哲学が、哲学の領域に留まっていることに価値を見いだせないのではないかということ。現代社会において、これから私たちが進んでいく方向が見いだせていないということ。そのためには、過去のことを調べ、将来に繋がる可能性を考えたいのだろうかと思いながら、読んでいました。
柄谷行人さんを、哲学という学問の領域だけで判断してはいけないのだと思いました。この本を読んで、もっと政治学を勉強してみたい気持ちになったりしています。
「むろん、厳密にいえば、デモクラシーは、僭主が取り除かれたときに成立する。しかし、僭主が先行することなしには、デモクラシーはありえない。そして、デモクラシーはイソノミア(無支配)ではなく、あくまで支配(クラシー)の一形態である。(p.170)」
人類が一時的にでも、平等という状況を、それを支配によらないで成し遂げたことがあるという事実は、これからの社会のあり方を考える上で勇気づけられることになるのだと思ったのです。
哲学の起源 | |
柄谷 行人
岩波書店 2012-11-17 |