デイヴィッド・フィンケル著の「帰還兵はなぜ自殺するのか」を読み終わりました。
読んだのは、翻訳版ではなく、英語版です。私個人的には、ダイアログを中心にいろいろなことを考えさせられる文章は、それほど好みではないのですが、この本は読んでおく必要があると思い、最後まで読みきりました。
人の人生は、たとえ何が起きようとも、続きます。映画や小説のように、終わることはありません。その後、があるのです。
この世の中には依然として、戦争があります。その戦争に行く若い人たちがいます。その若い人たちは、その後の人生を、戦争体験とともに生きていく必要があります。
本書は、現代社会において、その体験とともに生きていくということはどのようなことなのかを思い知らされるドキュメンタリー小説であると思いました。
読みながら、切ない気持ちになりました。読み続けるのことに、居心地の悪さがつきまといます。そして、自殺という選択が、不自然な選択ではないという感覚を持ち始めることに、一種の恐ろしささえ感じました。
戦争は、人を変えます、そして、人に傷跡を残します。このことを実感できれば、どんなにまわりみちであろうと、どんなに苦汁をなめるようなやりとりをしなければならないとも、話し合いによる解決方法を探すべきであると考えられるのではないでしょうか。
帰還兵の日々の暮らしを少しでも理解するしておくことは、平和というものの貴重さを理解する上で重要なことになると思いました。