それなりに英文を読めるようになったが、それでも、自分が日本語を読むときのレベルと比べると段違いである。
英文を読むときに、意味が分からない単語や熟語があるので読みすすめられないという側面がある。私は、英文を読むときの難しさは、この側面だけかと思っていた。しかし、それぞれの英単語を見て、その単語の音を生成するのにまだまだ労力が必要なのだと最近気づいた。
以前から、英語の小説を読みすすめるよりも、小説をそのまま朗読したものを聞いていく方が、脳の疲労度が低いと感じていた。しかし、朗読したものを聞いてもすべて理解できているわけではないし、肝心な場所を把握できない場合もあるので、朗読を聞くだけで、その小説をしっかりと理解できた気持ちにはなれなかった。そのため、このさいの脳の疲労の違いについて考えてみたことはなかったのである。
ベストセラーになると単行本と一緒に、そのオーディオブックも発売される。オーディオブックにおいて、通常厚い本を最初から最後まで朗読するとなると、大変に長くなってしまうので、短縮したものもある。そのようなものを、abridgedと呼ぶ。また、その本をドラマ化し、複数の役者が演じる形で収録された、オーディオブックもある。たとえば、BBCのラジオ番組を収録したもの。
ここで、私が、大変英語の学習において有効さを感じているのは、Unabridgedと言われるオーディオブックである。Unabridgedとは、「省略されてない、完全な」という意味である。つまり、Unabridgedオーディオブックとは、その本を最初から最後まで、一字一句朗読していったものを、収録したものである。
私が知っている限りでは、ひとりの朗読者が読んでいく。その時に感心するのは、わずかなトーンの違いで、女性がしゃべっているのか、男性がしゃべっているのかなどを非常にうまく表現していると感じることができることである。
文章において、誰がそのことを言ったという明記は、その発語の後ろに来る。つまり、その発語の出だしの部分において、誰が話しているのか分からない。しかし、朗読者が微かな違いを表現してくれるので、誰の発語なのか容易に推測できる。
そして、その朗読したものを聞きながら、同時に英文を眺めていく。すると、ひっかかるのは、自分の分からない単語や熟語だけになる。発語が難しいものは、朗読者がどんどん読みすすめてくれるので、その本が読み終わる頃には、何となく読めるようになったりしている。
今、ダン・ブラウンの「インフェルノ」をオーディオブックを聞きながら、英文も読んでいるが、たぶん英文だけでは読みすすめられないだろうと思った。それは、舞台がイタリア・フィレンツェとなっているため、イタリア語がかなり使われており、自分ではどう読んでいいのかすら分からない単語がそれなりに出てくるからである。
ところが、オーディオブックは、その箇所も読みすすめてくれる。意味は分からないにしても、その音だけを手にして、次に進めることができる。そして何度となく、その音を聞いていくと、その音になれる。そして、キーワードとなる単語を検索すれば、その単語を自分のものとすることができるのではないかと感じているのである。
つまり、オーディオを止める必要があるのは、自分が分からないキーワードだけになる。朗読者のペースで、文章が進むし、それなりにストーリーも展開されるので、ストーリーにも入っていける。
英文を読みながら、オーディオブックを聞いていくと言うことは、かなり有効な手段なのではないかと感じているところである。このことについて、何か研究がありそう。
年末に公開されるホビットの冒険もテキスト+オーディオブックで読むのもおすすめ。