家族を「する」家—「幸せそうに見える家」と「幸せな家」

 アメリカ映画に出てくるような郊外の住宅街(家の造りが似ていて,家の前には芝生があり,新聞配達する子供が自転車に乗り新聞を庭に投げ入れ,それを芝に水をやっている父親が見ているという風景)が実際どのような意味を持つものかについて,今まであまり考えたことがありませんでした。日本における大都市周辺のベットタウンの環境が人が住む,子供が成長するに当たってあまり良いとはいえないというのは,様々な事件の報道から想像していました。しかし,そのことからアメリカにおける状況にまで考えを広げることがありませんでした。

 藤原智美さんの『家族を「する」家—「幸せそうに見える家」と「幸せな家」』を読んで,そういえばそうだろうなといろいろ考えさせられました。

 家という空間の問題,近隣する家との関係の問題などについて,いろいろと考えを巡らせる良い機会であると思いました。

 話の展開に,父親であり,自分の家を建てることを考えていた精神科医との対話形式を持ってきためだろうと思いますが,一気に読むことが出来ました。

『家族を「する」家—「幸せそうに見える家」と「幸せな家」』の前著,『「家をつくる」ということ』も読みたくなりました。

話題が少しずれますが,著者が智美さんなので女性の方だと思って読んでいたら,家に対する視点や文章のスタイルも女性的なものとして読んでも違和感がなかったので,文章中に著者が男性であると書いてあるところまで気づきませんでした。

家族を「する」家―「幸せそうに見える家」と「幸せな家」 (講談社プラスアルファ文庫) 家族を「する」家―「幸せそうに見える家」と「幸せな家」 (講談社プラスアルファ文庫)alt
藤原 智美

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