トゥレット症候群(tourette syndrome)とう症状があることを知ってから、実際に臨床上で接する機会がありませんでした。少しずつ調べていこうと、以前の文献を眺めています。
以前読んだ中で記憶があるのが、オリバーサックスが「妻を帽子とまちがえた男」中で、チック症のレイ「10 きちあふれるチック症のレイ」について書いてあるものである。印象深い点は、トゥレットがこの症状を発表した後、「今世紀(20世紀)にはいると、それらは分けられて考えられるようになり、精神ぬきの神経学と肉体ぬきの精神医学とに分かれてしまった。そのためトゥレット症候群は忘れさられ、まるで病気そのものが消えてしまったかのように、今世紀半ばまでその症例はほとんど報告されることはなかった。医者の中には、これは「架空の」ものでトゥレットの旺盛な想像力の産物、とみなす者もいた。病名を聞いたことさえない医者がほとんどだった。1920年代にさわがれた、かの嗜眠性脳炎が忘れさられたように、忘れさられてしまったのである。」
そのような中でサックス医師はレイを診察する。その翌日ニューヨークの路上で、三人のトゥレット症患者を発見するのである。発症率は100万人に一人と言われていたのに、一時間のうちに三例も見たのである。
人はその概念を忘れてしまうと、その事を見ることができなくなったのであろうか。非常に興味深いエッセイであった。
妻を帽子とまちがえた男 (サックス・コレクション) 高見 幸郎 金沢 泰子 晶文社 1992-01-30 |
そのような中でネットで調べていたら他にも症例についてエッセイを書いているようです。入手して読んでみたいと思っています。
火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者 (ハヤカワ文庫NF) Oliver Sacks 吉田 利子 早川書房 2001-04 |
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