心理援助職のためのスーパービジョン


心理援助職のためのスーパービジョン — 効果的なスーパービジョンの受け方から,良きスーパーバイザーになるまで

 

目 次

日本の読者のみなさまへ

第1部 スーパーバイジーの視点から

 第1章 「ほどよい」スーパービジョン
 第2章 なぜ対人援助者となるのか?
 第3章 学習を継続し、職場での実りとしていくこと 
 第4章 効果的なスーパーバイジーのあり方 

第2部 スーパーバイザーとスーパービジョン

 第5章 スーパーバイザーになるに当たって
 第6章 スーパービジョンの概要とそのモデル 
 第7章 七眼流スーパービジョン――スーパービジョンのプロセスモデル 
 第8章 差違を越えてのスーパービジョン 
 第9章 スーパーバイザーへのトレーニングとその発展 

第3部 グループ、チーム、ピアグループのスーパービジョン

 第10章 グループ、チーム、ピアグループのスーパービジョン
 第11章 グループダイナミクスを探求する 

第4部 組織的なアプローチ

 第12章 スーパービジョンのネットワーク
 第13章 学びの文化に向かって――スーパービジョンをめぐる組織的文脈
 第14章 組織内のスーパービジョンの指針とその実践
 第15章 まとめ——開かれた精神を持つこと

翻訳者あとがき

 

心理援助職のためのスーパービジョン
Supervision

ナラティヴ実践再訪


目次

第1章 視覚性
第2章 正確さ
第3章 多様性
第4章 軽さ
第5章 速さ
第6章 一貫性
付録1 アデレード,1999年秋
付録2 香港,2005年夏
付録3 クリスチャンサン,2007年春

 

ナラティヴ実践再訪
ナラティヴ実践再訪 小森 康永

金剛出版 2008-06-17
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ナラティヴ実践再訪
Narrative Therapy (JP)

ナラティヴ・プラクティスとエキゾチックな人生―日常生活における多様性の掘り起こし


目次

第1章 ナラティヴ・プラクティス,カップルセラピー,そして葛藤解消
第2章 ジャーニー・メタファー
第3章 フォークサイコロジーとナラティヴ・プラクティス
第4章 ナラティヴ・プラクティスとアイデンティティ結論の解明

I フォークサイコロジー
II 私的行為体と志向的体験
III 歴史と文化

第5章 個人的失敗に対処する

I 近代的権力と,失敗の生産
II 拒否
III オルタナティヴ・アイデンティティ・プロジェクト
IV 実践への示唆
V さらなる考察と倫理的含蓄/失敗会話エクササイズ

 

ナラティヴ・プラクティスとエキゾチックな人生―日常生活における多様性の掘り起こし
ナラティヴ・プラクティスとエキゾチックな人生―日常生活における多様性の掘り起こし マイケル ホワイト 小森 康永

金剛出版 2007-02-26
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Narrative Practice and Exotic Lives: Resurrecting Diversity in Everyday Life
Narrative Practice and Exotic Lives: Resurrecting Diversity in Everyday Life Michael White Dulwich Centre

Dulwich Centre Publications 2004-07
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ナラティヴ・プラクティスとエキゾチックな人生―日常生活における多様性の掘り起こし
Narrative Therapy (JP)

セラピストの人生という物語


目次

Ⅰ リ・メンバリングと定義的祝祭
 はじめに
 第1章 専門家の規律・訓練文化
 第2章 リ・メンバリング
 第3章 リ・メンバリングと専門家の人生
 第4章 定義的祝祭

Ⅱ 実践の政治学
 はじめに
 第5章 専門家言説
 第6章 治療関係
 第7章 再著述する会話としてのスーパーヴィジョン
 第8章 共同研究としてのトレーニング

Ⅲ コラボレーション倫理と脱中心化実践
 はじめに
 第9章 コラボレーション倫理
 第10章 脱中心化実践

Ⅳ ナラティヴ・セラピーをキャスティングする
 はじめに
 第11章 ナラティヴ・セラピーとポスト構造主義

結論

 

セラピストの人生という物語
セラピストの人生という物語 マイケル ホワイト Michael White

金子書房 2004-03
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Narratives of Therapists' Lives
Narratives of Therapists' Lives Michael White

Nabu Press 2010-01
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セラピストの人生という物語
Narrative Therapy (JP)

ナラティヴ・セラピー―社会構成主義の実践


目次

序 章:H・マクナミー,H・J・ガーゲン
第一章 家族療法のための再帰的視点:L・ホフマン
第二章 クライエントこそ専門家である:H・アンダーソン,H・グーリシャン
第三章 「リフレクティング手法」をふりかえって:T・アンデルセン
第四章 治療を拡げる新しい可能性:G・チキン
第五章 書きかえ療法――人生というストーリーの再著述:D・エプストン,M・ホワイト/「書きかえ療法」についての解説:K・マレー
第六章 ナラティヴ・モデルを越えて:K・J・ガーゲン,J・ケイ

 

ナラティヴ・セラピー―社会構成主義の実践
ナラティヴ・セラピー―社会構成主義の実践 S・マクナミー K・J・ガーゲン 野口 裕二

金剛出版 1998-01
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ナラティヴ・セラピー―社会構成主義の実践
social constructionism

ナラティヴ・アプローチ


目次

はじめに 野口裕二
序 章 ナラティヴ・アプローチの展開 野口裕二
第一章 エスノグラフィーとナラティヴ 小田博志
第二章 オルタナティヴとしてのリフレクティング・プロセス—ナラティヴ・アプローチへのシステム論的処方箋 矢原隆行
第三章 医療におけるナラティヴ・アプローチ 小森康永
第四章 看護学とナラティヴ 大久保功子
第五章 私の家族療法にナラティヴ・セラピーが与えた影響—ナラティヴを取り入れた新たな家族療法の臨床実践 吉川 悟
第六章 社会福祉領域におけるナラティヴ論 木原活信
第七章 生命倫理とナラティヴ・アプローチ 宮坂道夫
第八章 紛争をめぐるナラティヴと権力性—司法へのナラティヴ・アプローチ 和田仁孝
第九章 組織経営におけるナラティヴ・アプローチ 加藤雅則
終 章 ナラティヴ・アプローチの展望 野口裕二

 

 

ナラティヴ・アプローチ
ナラティヴ・アプローチ 野口 裕二

勁草書房 2009-04-09
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ナラティヴ・アプローチ
Narrative Therapy (JP)

新しいスクールカウンセリング—学校におけるナラティヴ・アプローチ


新しいスクール・カウンセリング―学校におけるナラティヴ・アプローチ
新しいスクール・カウンセリング―学校におけるナラティヴ・アプローチ J. ウィンスレイド G. モンク John Winslade

金剛出版 2001-05
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Winslade, J. & Monk, G. (1998). Narrative Counseling in Schools: Powerful & Brief. Corwin Press.  小森康永(訳) 2001 物語としての家族 金剛出版

著者: ジョン・ウィンズレイド(John Winslade)& ジェラルド・モンク(Gerald Monk)

翻訳:小森康永

原著:Narrative Counseling in Schools: Powerful & Brief

Narrative Counseling in Schools: Powerful & Brief
Narrative Counseling in Schools: Powerful & Brief John M. (Maxwell) Winslade Gerald D. Monk

Corwin Press 2007-02-13
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 目次(Table of contents)

 第1章 ナラティヴ・カウンセリングって何?
 私たちはストーリーを生きている
 ナラティヴ・カウンセリングのシナリオ

第2章 ナラティヴ・カウンセリング―ステップ・バイ・ステップ・ガイド
 仮定からはじめよう
 面接に持ち込むべき態度
 ナラティヴの具体的方法

第3章 評判に取り組み直す
 学校教育の言説
 学校の記述
 教師の力
 欠損言説
 抵抗

第4章 「トラブルにある」子どもとの会話
 盗み
 教室でのトラブル
 虐待行動に立ち向かう
 怠学
 転入生を迎える
 カウンセリングと規律・訓練

第5章 グループ、クラス、それにコミュニティともナラティヴなやり方で仕事をする―個人への焦点を越えて
 新しいストーリーのための聴衆を求める
 関心コミュニティを作る
 グループワーク・プログラム
 クラス全体に働きかける
 「問題にインタビューする」授業
 学校との会話をはじめる
 学校のナラティヴな雰囲気

訳者あとがき

参考読本リスト

新しいスクールカウンセリング—学校におけるナラティヴ・アプローチ
Narrative Therapy (JP)

物語としての家族


物語としての家族
物語としての家族 マイケル ホワイト デビット エプストン Michael White

金剛出版 1992-05
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White, M. & Epston, D. (1991). Narrative means to therapeutic ends. New York: Norton. 小森康永(訳) 1992 物語としての家族 金剛出版

著者: マイケル・ホワイト(Micheal White)&デイヴィッド・エプストン(David Epston)

翻訳:小森康永

原著:Narrative means to therapeutic ends

Narrative Means to Therapeutic Ends
Narrative Means to Therapeutic Ends Michael White David Epston

W W Norton & Co Inc 1990-05
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目次(Table of contents)

はしがき  カール・トム
謝辞

第1章 ストーリー、知、そして力
 アナロジー
 テクスト・アナロジー
 テクスト・アナロジーと治療
 優勢な知と力の単位としての優勢な物語
 オルタナティヴ・ストーリーと文化的に有効なディスコース
 口述の伝統と文書の伝統:その区別
 結論
第2章 問題の外在化
 影響相対化質問法
 外在化すべき問題の決定
 ユニークな結果
 人々の問題との関係を再考する
 責任
 文化的文脈
 パノプティコン
 目的を示すいくつかの考え
第3章 ストーリーだてる治療
 論理科学モードvs.物語モード
 招待状
 冗長な手紙
 予言の手紙
 対抗紹介状
 照会状
 特別な機会のための手紙
 短い手紙
 物語としての手紙
 セルフ・ストーリー
第4章 対抗文書
 認定書
 宣言
 自己証明
 結論
付録 認定書
訳者あとがき
参考文献
索引

 

感想など

この本は、「Literate Means to Therapeutic Ends」という本で出版されいていたものを、改訂して出版されました。

最初に、この本を英語で読まなければならなかったのですが、自分の言語能力、知的な能力を深刻に疑いました。全然、理解できなったです。特に第一章のことですが。でも、しばらくこの周辺部のことについて理解を深めていくと、理解できるようになっていく感覚が出てきたのが、非常にうれしかった記憶があります。

「Literate Means to Therapeutic Ends」を読んでいたので、「Narrative means to therapeutic ends」を読んだのは、この翻訳書が初めてでした。そのときに、有名な「ずるがしこいプー(snaky poo)」の話がここにあったのだと理解したわけです。マイケルの著作には目を通していたはずなのに、遭遇できないのはどうしてなのだろうと思っていたら、ここにあったわけです。

日本で、この本を訳してくれていなければ、ナラティヴがここまで有名になることはなかったと思います。しかし、翻訳者として、マイケル・ホワイトの翻訳を手がけるのは本当に大変です。小森さんに感謝ですね。

第一章と第二章は、今でも大変重要な文献となっていると思いますので、是非一度読んでみてください。

 

 

物語としての家族
Narrative Therapy (JP)

ナラティヴ実践地図


ナラティヴ実践地図
ナラティヴ実践地図 マイケル ホワイト Michael White

金剛出版 2009-10
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マイケル ホワイト (著), Michael White (原著), 小森 康永 (翻訳), 奥野 光 (翻訳) 

目次


第1章 外在化する会話
 ジェフリー
 振り返って:外在化する会話についての私の研究の起源
 外在化する会話の発展を支えるアイデア
 セラピストの姿勢
 メタファー
 全体化する
 行為のメタファーと全体化の危険についての最後の覚書
 その他の外在化する会話
 立場表明地図:四つの質問カテゴリー
 結論
第2章 再著述する会話
 リアムとペニー
 再著述する会話の構造
 実践への示唆
 リアムとペニーとの再著述する会話をマッピングする
 アイデンティティの風景質問の利点と目的
 志向的状態理解VS内的状態理解
 アイデンティティの風景:心の書類整理棚
 追加実例
 結論
第3章 リ・メンバリングする会話
 ジェシカ
 もう一度こんにちはを言う
 リ・メンバリングする会話の利点と目的
 トーマス
 結論
第4章 定義的祝祭
 アリソン,フィオナ,ルイース,そしてジェイク
 聴衆を関わらせる:治療実践において定義的祝祭の利用をもちかける
 定義的祝祭の起源
 治療実践における定義的祝祭
 定義的祝祭構造
 アウトサイダーウィットネスの選抜
 定義的祝祭会話における治療的責任
 テクノロジー,無名性,そして倫理
 結論
第5章 ユニークな結果を際立たせる会話
 ピーターとトゥルーディー
 ユニークな結果
 立場表明地図ver.2
 立場表明地図の中途採用
 ナラティヴな会話の特質:ユニークな結果から豊かなストーリー展開へ
 結論
第6章 足場作り会話
 ペトラ
 私的行為体と責任ある行為
 私的行為体,責任ある行為,そして概念発達
 発達の最近接領域と治療的会話
 セラピストの責任
 足場作り会話の視点から見た外在化する会話
結論

感想

マイケルホワイトの遺稿集が出ていますが、それを最後にマイケルの本を読めなくなるというのは本当に残念な気持ちです。マイケルの本は、難解な部分もあるのですが、人を引きつけるものを持っていると思います。クライアントとのやりとりを読んでいて、思わず涙腺が緩むようなところもいままでありました。

このマップ(地図)ですが、私にとって、日本語の「地図」「マップ」という言葉の意味が広がった気がします。言葉の感覚を身につけて始めて理解できることもあるのだということなのでしょう。以前は、ナラティヴ・セラピーの代名詞は「外在化」でした、今後は、「マップ」となってきていると、ナラティヴを昔から知っている人が話してくれました。

ナラティヴは、背後にある思想的な部分を理解していないと、その言葉の虜になります。日本では幸いに、小森さんと奥野さんがマイケルの本を訳してくれていますので、じっくり読んでもらえたらいいなと思っていることです。

臨床感というか、クライアントにどのように見なすのかの印象が変わると思います。

最後に、小森さんが、あとがきにも引用していますが、マイケル・ホワイトの公理を原文でここにも掲載しておきます。

Within the context of the practices associated with the externalizing of problem,

neither the person not the relationship between persons is the problem.

Rather, the problem becomes the problem,

and then the person's relationship with the problem becomes the problem

 

 

ナラティヴ実践地図
Narrative Therapy (JP)

ナラティヴ・アプローチの理論から実践まで―希望を掘りあてる考古学


ナラティヴ・アプローチの理論から実践まで―希望を掘りあてる考古学
ナラティヴ・アプローチの理論から実践まで―希望を掘りあてる考古学 ジェラルド モンク

北大路書房 2008-05
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目次

 第1部

理論(ナラティヴ・アプローチとは
ナラティヴ・アプローチの理論的背景
治療的関係(カウンセリング関係)
ナラティヴ・アプローチのトレーニング)

第2部

実践(レイラと虎:精神医学におけるナラティヴ・アプローチ
アルコール依存の物語に対抗する
ナラティヴ・アプローチによるスクール・カウンセリング
調停における問題解決からナラティヴ・アプローチへ)


日本の読者のみなさまへ

ジョン・ウィンズレイド

“Narrative therapy in practice: The archaeology of hope”が出版されてから十年になります。世界中で多くの人がこの本を読むに価すると考えてくれるのはたいへん嬉しいことです。この本を書いた当時はナラティヴ・アプローチに関する文献はごく少なく、オーストラリアのダリッチセンター出版局のものに頼っている状況でした。マイケル・ホワイトとデイヴィッド・エプストンによる革新的な活動は各地の家族療法の分野で注目を集めていましたが、私たちはこの考え方はもっと幅広い読者層に読まれる価値のあるものだと感じていました。そこで私たちはこの考え方を新しい領域と新しい出版先に送り出すことを目指したのです。そして今、日本語に翻訳されて、新しい読者の目にふれる機会を得ることを嬉しく思います。

ナラティヴ・カウンセリングへの紹介であると同時に、この本は私たちのチームがナラティヴの思考法にどう取り組んできたかの記録でもあります。この本はニュージーランドにあるワイカト大学のカウンセラー養成コースの実践をもとにしています。著者たちは皆、教員としてまたは学生として、このコースの発展に貢献しました。この本は単に複数の著者によって書かれたというよりは、相乗しながら書かれたとでも表現するのがふさわしいでしょう。それぞれの章は一人か二人の著者によってではなく、チームの声を収めたものだという強い思いが肌で感じられるほどでした。六ヶ月に亘る企画と執筆の会合における会話を通して、私たちはこの思いを育て上げる努力を続けたのでした。

翻訳者である国重浩一とバーナード紫は、この本の出版に続く年にワイカト大学のカウンセラー養成コ―スに参加しました。二人と知り合い、両者が学習に寄せる深い探求精神を評価する一方で、私たちはこの考え方が日本文化の文脈の中にどのように適合するのだろうかと思いをめぐらしたものでした。その意味では、教えたというよりは二人から学ぼうとしたというべきでしょう。この翻訳は、出版社とのつながりによるものではなく、数年間に及ぶこのような相互学習的な関係の中に完全に身を置くこと通して生まれてきた文章です。私たちは翻訳者の創意に満ちた仕事を信頼し、満足しています。何故なら彼らの知的な、そして実践的な姿勢について、私たちはいささか理解しているからです。したがってこの前置きを書くことは、十年前にウォリィとべヴのマッケンジー夫妻の居間に二週間毎に集まったチームの会合に、ユカリと浩一を遅ればせながら招き入れることような気がします。この本の読者層を引き続き広めることへの彼らの貢献は貴重なもので、その仕事に大いに感謝します。

振り返ってみると、この本を書くことによって著者たちが新しい道に踏み出していったことがよくわかります。これは新しい活動への扉を開く本でした。私たちはまた、多くの学生がこの本の精神を取り入れ、自らの実践でさまざまな扉を開いていったことを知っています。時がたつにつれて、この本の読者が生みだす職業的な実践にふれることを通して、多くの人々の生活の中でさまざまな扉が開かれていくことを望みます。

「希望」という言葉を、私たちは軽く口にするものではありません。この言葉は人々が大切に思う価値を本当のものにしようという願いをあらわすものだからです。この本の題にある希望を掘り当てる「考古学」とは、希望を生み出し、その成長を促し、その効果を実在のものとするための諸条件を真剣に、詳細に探求する学問であることを示唆しています。私たちは「希望を掘り当てる考古学」をこの本の原題にしたかったのです。しかし出版社はナラティヴの実践を強調する方が、読者が容易に理解できる題になるだろうと説得しました。私たちはこの販売方針を受け入れ、「希望を掘り当てる考古学」は副題となったのです。しかしこの題はこの本の焦点であり、多くの英語の読者はこの点に反応してくれました。この本が提起しているのは、人々の生活のなかでの希望を生み出す可能性を入念に探求する方法なのです。

それ故に、この新しい日本語の翻訳によってまた新たな希望が生まれます。これを読むことは著者と読者の間に会話が生まれることだと信じています。読者がこの会話に参加し貢献することは重要なことです。私たちは新しい読者のグループが、この会話に参加する機会を得ることを望みます。これらの考えが日本文化の文脈の中で実践に取り入れられることを望みます。その結果として、ナラティヴ・アプローチのなかに、日本的な陰影をもった実践が生まれ出ることを期待します。この本を読むことで元気づけられた実践者が、人々の暮らしに関わっていくことを期待します。そしていつか、私たちの実践に刺激され、翻訳者のつけた日本語の抑揚に刺激され、これらの考えにさらに新しい意味の層を築き上げていく努力に刺激された日本の実践者から、ナラティヴの思考と実践について私たちが学ぶ日がくることを心から願うものです。

2008年、カリフォルニア、レッドランズにて

 

翻訳者まえがき

カウンセリングの鍵は,会話そのものである。

カウンセリングという場において,カウンセラーとクライアントが向き合って話をするのであるから当然といえば当然と受け取られるかもしれない。カウンセラーのみならず,医師,保健師,看護師,福祉士,保育士,教師などは,相手との会話において,本人が苦しんだり悩んだりしている問題からの影響を少しでも緩和するために,何をどのように話していくかに日々苦心しているのである。それは,その時の会話のでき次第によって,何かが変化する可能性を感じその変化に期待を託すことができるからである。

しかしたとえば,「盗み」「暴力」「鬱」「不登校」「精神病」「アルコール依存」などの言葉を,相手に防衛心や警戒心,時には怒りなどを誘発することなく話すことがいかに難しいかは,このような会話の場を経験したことが無い人でも十分に想像できると思う。このような会話において困難な点は,往々にして,相手がその問題のために自分が責められている,またはそのことについて責任があると感じるようになってしまうことにある。そしてそのことが,カウンセリングに不可欠な会話において,相手を黙らせてしまうのである。このような状況においては,会話,つまり双方向からの言葉のやりとりがあるものではなく,説得や説教に近いものになっていく。そのようなときに,カウンセラー側は自分の意図したように言葉が伝わっていかない,または誤解されたと感じ,そのような状況をどのように打開すればよいのか,そのためにはどのような言葉を選択し,どのように表現していったらよいのか模索していくのである。

さて,この本で紹介するナラティヴ・アプローチ,または単にナラティヴと言われるものは,クライアントとカウンセラーの言葉のやりとりによって,問題に対する,そして自分自身に対する新しい理解が出現し,その意味づけに基づいた新しい可能性が開かれる道を探るカウンセリング技法である。そのためには,クライアントにのしかかる問題が,クライアントとの会話を妨げないような話し方が必要となる。そこで,ナラティヴ・アプローチではその話し方についてもひとつの方法を提案している。この方法は,クライアントが自分自身のために自分自身のことを語る声を持ち,自分自身の内に問題に対抗する力を見いだしていくことができるように支援するものである。つまり,このアプローチによるカウンセリングとは,クライアントが自分の資質や能力を再発見し,自分の人生における本当の主人公となっていく過程であるともいえる。

カウンセリングにおいて問題をどのように理解していくかについては,カウンセリング技法の枠組みによって異なる。ナラティヴ・アプローチにおいては,社会に見られるさまざまな問題は,決して個人に固有で内面に存在するものとは理解されない。つまり,問題の重大性を決め,その問題が存続していけるかどうかを決定するには,社会的,文化的な要因が大きいと考えていくのである。このアプローチでは,人間を理解する上で絶対的な真理や本質的なものを信じない。「知識は社会的に届けられるものであり,人々の相互作用のそれぞれの瞬間に変化し更新されていく(Hoffman, 1992)」ため,治療とは会話そのものであり,その会話からもたらされる意味づけの変化に治療の可能性を見出す姿勢がその基本にある。(後略)

 

ナラティヴ・アプローチの理論から実践まで―希望を掘りあてる考古学
Narrative Therapy (JP)

ナラティヴ・メディエーション―調停・仲裁・対立解決への新しいアプローチ


ナラティヴ・メディエーション―調停・仲裁・対立解決への新しいアプローチ
ナラティヴ・メディエーション―調停・仲裁・対立解決への新しいアプローチ ジョン ウィンズレイド ジェラルド モンク John Winslade

北大路書房 2010-09
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目次

第1章 ナラティヴ・メディエーションとは
第2章 ナラティヴ・メディエーションの理論的、哲学的論点
第3章 ナラディヴ・モデルによる調停
第4章 利権意識
第5章 ナラティヴ・メディエーションにおける関係性の文脈
第6章 対立を和らげる
第7章 隙間を広げる
第8章 勢いをつくり出す
第9章 泥沼からいかに抜け出すか
第10章 進展を文書化する

 

日本の読者のみなさまへ

「ナラティヴ・メディエーション−調停への新しいアプローチ」が2000年に英語で出版されて以来、本書は調停の現場で数多くの新しい実践に結びついていき、さらには紛争解決の分野にも利用されてきました。さまざまな背景を持った人々がそれぞれの職業的な立場からこの考えを取り上げ、幅広い分野で発展させてきた創造性を目にすることはたいへん喜ばしいことでした。

この原書は主にひとつの国、すなわちニュージーランドにおける実践経験から書き上げられたものです。その後、他の場所でナラティヴの考え方について語り、それを教える努力を積み重ねるうちに、この考え方を適用できる多くの文脈が存在することが分かりました。それ以来、私たちは北アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、そして中東など多くの国々でナラティヴ・メディエーションを教える機会を持つに至りました。そして現在はアメリカに移り、北アメリカでナラティヴの調停の考え方を広めようとしています。その場所の文化や言語の文脈に伴って、ナラティヴの実践の形式にはいささかの違いが生じます。同時に,異なる社会における行政上、あるいは法的な様相に順応することも必要です。この際に生じる微妙な、そして時よってはかなりの相違というものは理解され、受け入れられるべきものだと考えています。なぜならそれは新しい土地における実践の努力を意味するからです。今私たちは、日本の読者がどのようにこの考え方を取り上げ、日本の文脈で機能するように変革していくかを、期待を持っています。このナラティヴの著書を日本における調停関係者がさらに発展させ、私たち西欧の実践者が自分の調停実践の中にそのいくつかを取り込んでいけるような新しい要素を加えてくれることを期待しているのです。

私たちはバーナード紫と国重浩一がこの本の日本語訳に取り組んでくれたことに感謝しています。それは、二人のナラティヴの実践に対する理解に信頼を置いているからです。二人ともナラティヴの実践に対して精密な、そして陰影に富んだ理解を深めてきました。1990年代にワイカト大学で二人と学んだことは貴重な体験でした。二人の研究は異文化の境界を越えて新しい考え方を学ぼうとする多大な努力を基盤としたものでした。私たちのナラティヴ・セラピーについての初期の本も既に二人は翻訳しており、今回のものはナラティヴの考え方を日本でさらに利用できるものにしようとする姿勢の表われです。私たちはその努力に感謝し、翻訳をするにあたって二人は適任であると感じています。

ここでナラティヴの枠組みから調停について論じることの目的に触れておきたいと思います。私たちは単に調停の分野に新しいアプローチを加えることを目指して、この考え方を発展させたのではありません。それは、現存のアプローチには私たちが重要だと考える特質が欠けていると思われたからです。調停の実践を考えると、人の潜在的な関心や欲求を基盤とするよりも、物語を基盤として人々が判断し、個人のアイデンティティ、人間関係、共同体などを創り上げていくことだ、と考えていく方がより適していると言えるでしょう。そして調停者は多くの場合、出来事を物語にするときにはいくつものやり方があることを理解しています。なぜなら当事者たちの話す物語がお互いにかけ離れたものであることがよくあるからです。私たちの関心はナラティヴの視点を通して、この潜在的な力を探索していくことにあります。これらの物語を克服すべき障害物として見るのではなく、物語自体の観点からみることに利点があるのではないかということです。

ことに紛争解決においては、対立の染み込んだ物語に対抗する新しい関係性の物語を共同で書き上げることを望み、それが異なる道をたどって将来につながるものとなることに期待しています。この異なる道は協力や和平、理解、あるいは別のふさわしい名称を持つことになるでしょう。それは調停者と紛争関係にある当事者たちによって共著されるものでなければなりません。このような共著の行為が可能であるという信条が、私たちにナラティヴによる調停の実践の概念化へと導いてくれたのです。

読者のみなさんがこの概念について、そしてそれに基づく実践について読み進むなかで、それらをどのように自分の仕事の実践に生かすかを心に描き出していくことを願っています。みなさんの試みに心からの支援を送ります。

ジョン・ウィンズレイド、ジェラルド・モンク

アメリカ合衆国、カリフォルニア州

2009年6月

 

翻訳者あとがき

対立に巻き込まれた両者を前にして、その場を何とか納めなければならないという任務を任された状況を想像してほしい。対立を引き起こしている問題が、第三者から見た問題の程度と、両者が感じている問題の大きさとは一致しないであろう。もともと両者の意向は異なったところにあったのかもしれないが、その人たちの手には負えなくなってしまっているのである。ある場面では、双方が相手の言葉尻をとらえようと狙っており、両者に自由に語ってもらうとすれば、火に油を注ぐことになるのは目に見えている状況もあるだろう。一方が相手の言葉に反応して報復的な言葉を使い、その言葉がさらに挑発的な言葉を誘発して対立が膨れあがっていく。またある場面では、当事者たちは希望を持って臨んでいるとしても、その場における特定の言葉遣いまたは仕草などが、相手の感情を刺激してしまうこともあるのであろう。このようなことは「地雷を踏んだ」というような描写がよく使われるが、言い得て妙である。

このような時に、第三者としてその場を託された人が水先案内人として担う役割は非常に重要なものとなる。当事者双方が自分の主張を十分に語り、双方が納得できると思える合意点に達し、それと同時に双方の関係にも改善がみられることなど、調停への期待は非現実的に感じられるぐらいのものとなってしまう。

調停者にとって、当事者が持ち込んでくる問題をどのように理解し、どのような視点から解きほぐそうとすればよいのかについては、その理論的な枠組みがたいへん重要となる。水先案内人にも、羅針盤と海図が不可欠なのである。調停が行き当たりばったりのものではなく、何らかの方策を用いて合意や関係改善への確率を高めることが可能であり、またそのような取り組みをすべきものであるということを覚えておくのは重要なことである。さもなければ、落語にでも出てきそうな長屋の大家さんのように、「まあ、まあ、ここはひとつ、大人になって、この辺で手を打たんかね?」などといった、世間にあるもっともありふれた物語を再生産するに過ぎないものとなってしまう可能性がある。また理論的なものだけでなく、当事者双方の会話の成り行きによって、即座に判断し、どのように語りかけ、どのように質問を展開していくかの技術も要求される。つまり、実際に船を操る舵も不可欠となるのである。

そして、本書がこのような水先案内人にとって良質の手引き書となる可能性を感じている。それは、このアプローチが、人の性格上の欠点や人の持つ悪意のようなものに捕らわれることなく、あくまでもその状況の可能性に絶えず目を向けていくように、私たちを導いてくれるからである。絶望的な状況においても、希望を掘りあてていく姿勢への理論的な裏付けとそれを実現する方策や技法は、航海者を導く心強い星となり得るであろう。

 

この「ナラティヴ・メディエーション−調停への新しいアプローチ」は、“Narrative mediation: a new approach to conflict resolution”の全訳である。このアプローチの意図するところを以下に要約してみる。

1.問題を作りあげた張本人として当事者を見なさない。

2.当事者が問題の犠牲者なのである。

3.問題の重要性は当事者間の関係性に存在する。

4.当事者を囲む力の不均衡を描写し、その恒常性を切り崩していく。

5.代わりの意味づけや解釈を生み出すような物語を探し、拡大していく。

 

これは、当事者間の合意という結果を直接目指すのではなく、合意が生まれる可能性を増大させる土壌(代わりの物語、オルタナティヴ・ストーリー)を作り上げることを目指すということである。その土壌は当事者間の関係性のことであり、この土壌が肥沃になることにより、合意という実を実らせることにより近づいていくのである。

ナラティヴ・メディエーションとは、近年注目されている心理療法の理論およびその技法であるナラティヴ・セラピーを、調停という場面に応用したものである。そのため、ある程度カウンセリングのエッセンスが必要とされるが、この本を読んでいただければ、調停者という役割の性質上カウンセラーがその役割を担うことは理にかなっていると思われるであろう。故に心理カウンセラーがこの調停という分野に進出していく可能性も十分ありそうである。(以下略)

国重浩一、バーナード紫

 

 

ナラティヴ・メディエーション―調停・仲裁・対立解決への新しいアプローチ
Narrative Therapy (JP)
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