The New York Review of Booksで「ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議」の原著のReviewがありました。
原著はこちらです。
What’s Wrong With the Rorschach?: Science Confronts the Controversial Inkblot Test | |
M. Teresa Nezworski Scott O. Lilienfeld Howard N. Garb
Jossey-Bass Inc Pub 2003-03-07 おすすめ平均 |
翻訳版はこちらです。
ロールシャッハテストはまちがっている—科学からの異議 | |
ジェームズ・M. ウッド スコット・O. リリエンフェルド M.テレサ ネゾースキ
北大路書房 2006-02 |
Out, Damned Blot! By Frederick C. Crews
「退場!ばかばかしい図版!」と題されたReviewがあります。
http://www.nybooks.com/articles/article-preview?article_id=17234
これは購読者のみ全文を読めるようになっているので,すべて読めませんでした。しかし,このReviewをうけて,State University of New York at BuffaloのJoseph Masling名誉教授がLetterを書いています。
http://www.nybooks.com/articles/17526
2001年,APAで組織された専門家の研究会で,心理テストの効果を報告していて,その結果,ロールシャッハが「科学的な」自己報告式のスケールと同様に効果的に行動を予測できると報告していることを記載しています。
そして,臨床的な直感や経験が解釈過程から取り除かれ,システム的に構築された客観的なスコアリング方法をとるならば,ロールシャッハは複雑な人間の動機や行動を描き出す印象深い証拠をしめすことになると主張しています。
Frederick C. Crewsは,このLetterに対してコメントを書いていますが,その内容は辛辣です。
http://www.nybooks.com/articles/17526
2001年のAPAの研究会の報告については,ロールシャッハの存続を図るために結成され,その目的にあった報告をしているのにすぎないとしています。
そして,「臨床的な直感や経験が解釈過程から取り除かれ」ととあるが,この部分こそが解釈のたよりになるのではないかと反論しています。
このやり取りを読んで,あまり質の高いディスカッションが行われたとは思えませんでした。結局は水掛け論に終わってしまうのでしょうかね。