マイケル・ホワイトの遺作となってしまった「Maps of Narrative Practice」の全訳である。マイケルは、包括的な「ナラティヴ・セラピー」の入門書なり、ガイドブックを書いてこなかったが、最後にしてこのような本を書き上げてくれた。
初心者にも、ナラティヴを実践しようとしていこうとしていく人にも薦めることができる一冊である。
表紙の裏の言葉(上図)をここに転記しておく。
ナラティヴ・セラピーの創設者である著者の20年以上の経験の集大成として書かれた本書は、ナラティヴの体系とテクニックを理解し、実践するための決定的なガイドである。
「外在化する会話」「再著述する会話」「リ・メンバリングする会話」「定義的祝祭」「ユニークな結果を際立たせる会話」「足場作り会話」というナラティヴ・セラピーの六つの主要な技法を、実際の臨床場面でどうやって用いればよいのかが、トラウマやアディクション、摂食障害やDVといったケースでの実際の面接の逐語録と、詳細な解説によって示される。
また面接の進行の様子がチャートとして地図化され、人々の人生のストーリーがいかに治療的可能性にあふれたものであるかがより良く理解できる。
初心者がナラティヴ・セラピーのなんたるかを知るに格好の書であると同時に、経験を積んだセラピストにとってもナラティヴ・セラピーの魅力を繰り返し発見させられる、マイケル・ホワイト最後にして最高の1冊である。
ナラティヴ実践地図 小森 康永 金剛出版 2009-10 |