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タイガーと呼ばれた子–愛に飢えたある少女の物語

「シーラという子 − 虐待されたある少女の物語」の続編です。「シーラという子」ではシーラが6歳の時,ヘイデンが5ヶ月のあいだ特殊学級の教員として受け持った関わりを書いたものです。「タイガーと呼ばれた子」は,シーラが14歳の時にヘイデンと再会し,その後の関わりを書いたものです。「シーラという子」を読んだ読者は,こちらの本も読んでおくことが必要であると思います。子供にとって,周りの人間の関わりがどれほど重要であるかを再認識できます。

この本の存在価値そのものについては十分に認識できますが,私の中でひとつの想いがあります。それは,「シーラという子」の時のヘイデンに感じなかったもので,「タイガーと呼ばれた子」の時に感じたものです。それは,ヘイデンの立場が違うことに由来するものです。前作ではヘイデンは教員でしたが,今回はセラピストです。「シーラという子」をシーラに読んでもらって,その感想と出版の許可を求めていますが,セラピストとしてこのようなことを読ませることをどの様に判断したのか,また子供虐待からのトラウマを依然として抱えている可能性の強いシーラを同じような境遇の子供たちに接する機会を与えるというのはどの様に判断したのかという疑問です。

そのような疑問を持ちつつも,ヘイデンのシーラへの関わりについては,思うことがたくさんありました。精神療法ではセラピストとクライアントの多重関係をあまり好みませんが,シーラにとって,セラピストの職業的すぎる関わりがシーラの心の中に入っていくことができたかは疑問であり,シーラのような子供には擬似的にでも親のぬくもりを与えてくれる人が必要であったと思わされます。心理療法を職業としている人たちは,この点についてもっと前向きに考えていいのではないかと感じます。

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