わが娘を愛せなかった大統領へ − 虐待されたトラウマを癒すまで

かなり以前に新聞の書評でこの本のことを知っていましたが,読む機会がありませんでした。先日偶然に古本やで見つけましたので読んでみました。
内容的は,元アメリカ大統領ドナルド・レーガンの娘が家族の実像を描いているものです。父親であるドナルドは,情的な部分で人と交わることができずに,家のことには現実逃避をして,母親のナンシーは,合法的な薬物の依存状態で娘を感情的に縛り,頻繁にたたいたりしていたということなので,ショッキングな話です。そのような家庭で育ったパティは,ボーダーラインのように,次々と男との関係を持ち,薬物依存になり,精神的に不安定な状態となります。
しかし,話されている内容がショッキングなはずなのに,あまり読み手が感情を揺れ動かされることがないような気がしました。なぜなのか? 読み手をその場面にいるがごとくに持って行く描写が少ないのか,非常に大きなことをあまりにも淡々と書きすぎているのか,しっかりと判断できませんが,あまり印象に残りません。
JFKの妻ジャッキーが買い物依存であったことをただ知っておく程度で十分な気分にさせられるのと同じように,ドナルド・レーガンの妻が薬物依存,幼児虐待をしていた,家庭崩壊状態にあったということを知っていればいいのかなと思った程度の書物でした。

わが娘を愛せなかった大統領へ―虐待されたトラウマを癒すまで わが娘を愛せなかった大統領へ―虐待されたトラウマを癒すまでalt
Patti Davis 玉置 悟

ベストセラーズ 1996-11
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