アスペルガーの本とADHDの本を読んでいくと、「このようなひともこの症状を持っていた」などのように双方の立場から同じ人物が紹介されているときがあります。たとえば、アインシュタインです。両方の状態を有するというのは、実際どのようなものであるのかうまく把握できていませんでした。
そのときにこの本に出会いました。ニキ・リンコさんは大人になってから自分はADHDだと思って、受診しますが、アスペルガー症候群の診断を受けます。しかし、自分にADHDの側面もあると理解しています。これが素人判断だけで無いと思えるのは、ニキ・リンコさんが翻訳家で、それもADHDや自閉症関係の本を訳しています。そのため、基礎知識に関しては、下手な医師よりもしっかりしていると思えます。
また、その症状がその人にとってどのようなものであるのかを理解するためには、非言語的な手段に限界があります。観察だけではどうしようもないので、その人がその人の五感を通じて感じている周りの世界について、言葉で語ってもらわなければなりません。しかし、その言葉で語るという行為は、これらの症状を持つ人たちにとってはそれほど簡単なことではありません。そのため、翻訳業ができるほど言語能力に優れている人が、自分のことを語ってくれていることを読むことは大変参考になりました。
おすすめします。
教えて私の「脳みそ」のかたち―大人になって自分のADHD、アスペルガー障害に気づく 岡野 高明 花風社 2002-11 |
以下の本は興味がありましたので、メモとして載せておきます。
「わかっているのにできない」脳〈1〉エイメン博士が教えてくれるADDの脳の仕組み Daniel G. Amen ニキ リンコ 花風社 2001-09 |
「わかっているのにできない」脳〈2〉エイメン博士が教えてくれるタイプ別ADD対処法 Daniel G. Amen ニキ リンコ 花風社 2001-09 |