原宿カウンセリングセンターで、カウンセリングを12年にわたり行っている信田さよ子さん書かれたカウンセリングについての本である。(信田さんの実務経験はアルコール臨床も含めればもっと長いようです)
読んで第一印象は非常にほっとしたというか、良かったという気分にさせられました。これは、彼女のカウンセリングの方向性が自分の考えている方向性に近いものがあるからですね。その上で、参考になることもたくさんありました。
実践をしていくというのは、理論をふまえながら、現実問題に直面しなければいけないことなのですが、これは理論からは絶対に出てきません。現実が必要です。この部分について書かれているので、非常に有益な情報が含まれていると思います。身近に実践家がいない状態でカウンセリングを習得しなければいけない状況にいる人には読んでほしいと思いました。
ただ欲を言えば、それぞれの内容について少し説明不足な部分があったように感じます。たとえば、外在化のこと、脱構築のこと、これらは言葉だけでは、理解できない読者も多数いると思います。そのため、この本の読者は誰なのか少し絞られていないような印象を持ちました。
また、信田さん自身のカウンセラー像について、他の人から、カウンセラーにしては、はっきり言うし、喜怒哀楽がはっきりしていると、他の人から言われているとのことでした。この点について、私としては、信田さんのようなカウンセラーが望むべきカウンセラー像として映ったと感じたと、もしお会いできれば伝えたいですね。
カウンセリングで何ができるか 信田 さよ子 大月書店 2007-12 |