今は心理カウンセラーという対人援助職に就いていますが、若いときからこの分野に興味関心を持っていた人間ではありません。
それは、理系の教科の方が得意であったからというよりも、文系の教科が苦手だったことに関係しているような気がします。国語も設問の意味をうまくくみ取れず苦労しましたし、英語は単語や熟語を記憶することができませんでした。社会も話としては興味があったものの、固有名詞や年号を記憶できずに苦労しました。
そのような人間が、専門書の翻訳に取り組んできて、そろそろ3冊目の出版を迎えようとしています。その取り組みは、自分の文章力にもつながったようで、ナラティヴ・セラピーに関する本を、自分でまとめることができました。
正直、何とか本の分量まで言葉を連ねることができたことにも驚きなのです。そして、その本を出版社に見せたところ、入門書としては難しいという回答をもらいました。私としては、専門用語を並べた文章ではなかっただけに、かなり意外な判断だったのです。
ここで、ひとつ大きな疑問が生じています。
先ほど述べたように自分の国語力に自信がなかったので、自分に理解できるようなものなら、専門家であれば、理解できるだろうと信じていたところがあります。それよりも、簡単に書いてしまったために、馬鹿にされるのではないかという懸念もありました。
そのため、人がどの程度であれば理解できるのだろうかという基準を、今見失っているところです。
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