今翻訳の校正作業に取りかかっていますが、”intersectionality”の訳語が日本語として定着していないようです。Wikipediaの項目も日本語はありません。そこで少し調べてみました。
まずは翻訳している文章での説明から。
Intersectionality is a sociological theory seeking to examine how various socially and culturally constructed categories of discrimination interact on multiple and often simultaneous levels, contributing to systematic social inequality. Intersectionality holds that the classical models of oppression within society, such as those based on race/ethnicity, gender, religion, nationality, sexual orientation, class, or disability, do not act independently of one another; instead, these forms of oppression interrelate, creating a system of oppression that reflects the "intersection" of multiple forms of discrimination. (Madigan, 2011)
（訳）インターセクショナリティとは、システム的に社会の不平等に貢献している、さまざまな社会的そして文化的に構築された差別の分類が、どのように多層的に、そしてしばしば同時的に交差してているのかを分析する、社会学の理論のひとつです。インターセクショナリティによると、人種／民族、性、宗教、国籍、性的志向、階級、あるいは障害など、社会における抑圧に関する古典的なモデルは、それぞれが独立して機能しているのではなく、これらの抑圧の諸形態は関連しあっており、さらに、差別のさまざまな形態の「交差」を反映する抑圧のシステムを作り出すとされています。
Wikipediaの説明では。
Intersectionality (or Intersectionalism) is the study of intersections between different disenfranchised groups or groups of minorities; specifically, the study of the interactions of multiple systems of oppression or discrimination. http://en.wikipedia.org/wiki/Intersectionality
インターセクショナリティ（またはインターセクショナリズム）とは、異なる公民権を剥奪されたグループ、あるいはマイノリティのグループの間の「交差」の研究、特に、抑圧や差別の多層的なシステムの「交差」の研究である。
さて、インターセクショナリティ（intersectionality）の語源ですが、日本語でも十分通じる「インターセクション（交差点）」と同じものです。
Googleで検索すると、現時点ではカタカナ語として使っています。かろうじて、日本語に置き換えている例を見ると、「交差性」「同時的交差」が見つかりました。
社会的抑圧や差別の側面は、英語でも含めていないので、英語でもこの言葉の背景を知る必要があります。そのため、日本語に置き換えたとしても、この背景まで含める必要はないはず。
「同時交差性」の方がどちらかと言えば、現時点ではしっくりいく気がしますが、、、
このような訳語は、このことを勉強している人たちの手で作り出してほしい。誰かGoogle検索に引っかかるようにまとめてください。
今校正している翻訳書では、「インターセクショナリティ」か、「同時交差性」のどっちでいくのかまだ思案中。原稿を最後まで読んでから決めるしかなさそう。
アマゾンで検索してみると、次のような本がすでに出版されています。
いろいろな分野のことをどのように関係づけて研究しているのかについては興味を持ちました。
intersectionalityで画像を検索したら、次のような画像が見つかりました。
