「Experience of experience question」の訳

いくつかあるナラティヴ・セラピーの質問の中で「Experience of experience question」というものがあります(White, 1992)

White, M. (1992). Deconstruction and therapy. In D. Epston & M. White (Eds.), Experience, contradiction, narrative and imagination. Adelaide: Dulwich Centre Publications.

これは、「人々が過去の語られていない経験にさかのぼって,現在のより好ましい自己描写の内で再体験する機会を提供する」(Monk, et al, 1997「ナラティヴ・アプローチの理論から実践まで」)ものです。

さて、これをどのように訳すのかということなんですが、直訳は「経験の経験の質問」です。これでは意味が分からないと思うのです。そこで、私の翻訳パートナーである紫さんは、これを、「経験を体験する質問」と訳しました。

自分が経験したものであるにもかかわらず、忘れ去られていたものは、過去を思い出し、再体験するということが、再著述(語り直し)していくときに重要になるという意味を伝えられると思うのです。

先ほどまで、マディガンのナラティヴ・セラピーの翻訳をレビューしていたのですが、この表現がまた出てきて、やはりこの訳でいいと思えました。揺るがない訳語を決めることができるのは、翻訳をしていてうれしいものです。

 

gin.