読了「会話・協働・ナラティヴ」1

三人の著名なセラピスト

リフレクティング・チームのトム・アンデルセン、コラボレイティヴ・セラピーのハーレーン・アンダーション、そして、ナラティヴ・セラピーのマイケル・ホワイトが一堂に会したカンファレンスがありました。2004年にフィンランドで行われたコモン・グラウンド・カンファレンスです。そこで、三人がそれぞれのアイディアと実践を発表したのです。

「会話・協働・ナラティヴ」は、その時のプレゼンテーションに、オープン・ダイアログで脚光を浴びているヤーコ・セイクラらがリフレクションをしたものをまとめたものです。

この三人の著名なセラピストを総称してどのように呼べばいいのでしょうか?

リフレクティング、コラボレイティヴ、ナラティヴのいずれかを用いることは、他方に失礼になる気がします。その一方で、この三人に共通した領域があることは、十分理解できるのです。本書でリフレクションをしているフィンランドの心理士であるタピオ・マリネンは、この三人を「コラボレイショニスト」と読んでいます。この名称が、私にはまだしっくりと来ていないので、しばらく考えてみたいところです。

トム・アンデルセン

トムの章を読んで、もっとトムの本を読んでみたいと思いました。この章のタイトルに「言葉」が宛てがわれたのは適切であったと思います。それは、私たちが使う言葉が、相手に与える影響について考察してきたことを十分に物語っているからでしょう。それほど、トムの言葉の使い方に対する検討から学ぶところが多いのです。

人々の話を聞いていて、いろいろな話がどのようにつながっているのかわからない時があります。その時のことをトムは次のように語ります。「この女性(クライアント)が心を動かされた時、僕らはそこにあるつながりを見る。そのつながりが何なのか僕らにはわからないが、彼女には分かっている」。そうなのです、話の点と点を結び、そこの文脈を見出すのは、その人自身なのです。そして、その人にとっての文脈に耳を澄ますトムの姿勢に、私は惹かれるのです。

また、トムが引用するハリー・グリーシャンの言葉も魅力的です。

ハリー・グリーシャンがとても熱心に言っていたことだが、「僕らは、自分が考えていることを言ってみないことには、それが何かわからない」ということだ。彼は言った。「考えていることを見つけるためには、話し続けなければならない」。表現が先で、それから意味が生じる。

ここは、私のワークショップで何度も触れた箇所です。これからも、この引用は使い続けたいと思います。ハリー自身の言葉で何と言っているのか調べないといけませんね。

また、翻訳のことなのか、原文のことなのかよくわからないのですが、次の文章の意味が不明瞭です。でも、とても大切なところなので指摘しておきたいと思います。

ハリー・グリーシャンは僕らに耐えず教えてくれた。「彼らが本当に意味していることではなく、彼らが実際に言っていることを聴きなさい!」 僕らが彼らの本当に意味していることを聴く時間、僕らは彼らの言うことを僕ら自身の観点で解釈している。それは、僕らが、彼らのいうことについての意味を作り出しているということだ。セラピストであれ研究者であれ、聞き手にとって、「彼が本当に意味しているのはなんだろう?」とか「彼女は何を言おうとしているのだろう?」という内なる声を打ち捨てることが、大切だ。彼が話すこと以上のものはない。だから、僕らは彼らが言うことを注意深く聴かねばならいのだ。

「彼らが『本当に』意味していることではなく、彼らが実際に言っていることを聴きなさい!」の説明の部分を読むことによって、「本当に」が誰にとっての「本当に」なのかわかると思います。この部分だけでは、誰にとってが不明瞭なままとなっています。そのため、この文章だけでは、うまく伝わらない気がしています。この部分を引用していきたいので、次のような修正を施したいと考えているところです。

「相手の言葉が本当に意味することを自分で解釈するのでなく、相手が実際に言っていることを聴きなさい!

ハーレーン・アンダーソンとマイケル・ホワイトについても書きたいところがありますので、また投稿します。

おすすめできる一冊です。

 

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