読了「原発からの命の守り方」

守田敏也氏の「原発からの命の守り方: いまそこにある危険とどう向き合うか」を読み終わった。
本書を読んで、憤慨を感じるのを免れることはできないのだろうと思う。近代的な発想、合理主義、科学的な根拠など、現代社会を生きる私たちが拠り所にするものは多くある。原子力発電にまつわるものは、これらのいずれかのものでもないということだ。
歴史の本を紐解いていくと、自分の身を守ることだけを考えることしかできない愚かな権力者を見出すことも容易ではない。昔、前近代には、このような人もいたのだろということにしておくこともできる。しかし、将来、この時代を振り返る我々の子孫は、今起こっていることに対して、近代性であるとか、合理的、科学的根拠に基づいた判断というものがなされなかった時代であると思うに違いない。
本書を読んで、原発推進派の主張のあまりにも恣意的で、自分勝手な主張がいかに馬鹿げたことであるのか理解できると思う。そして、震災後、できるはずのことをしなかった、そして、今もしていない政府の姿が浮き上がってくるだろう。
わたしたちは、人生を歩んでいくうえで、自分の身を委ねるものを見つけなければならない。それは、信頼できる友であったり、拠り所にできる思想であったりする。そして、民主主義の時代、どの政権に身を委ねているのかという選択肢も与えられている。
私たち市民のことを第一に考えないどころか、私たち市民から搾取しようとしているものに身を委ねてはいけないと、再確認した。そして、今止まっている原発を再稼働させては行けないのだ、と再確認できた。
本書は、著者の思いが溢れ感情的になってしまうところがあるものの、原発のこと、放射能のこと、被爆のことなどをわかりやすく説明してある。その説明は、しっかりとこのことに向き合うために必須の情報であると思う。一読をおすすめしたい。

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