ドクターサカキハラのADHDの医学 (学研のヒューマンケアブックス) 榊原 洋一 学習研究社 2003-11 |
ADHDという病気の曖昧さ
ADHDを理解する上で、この病気の「あいまいさ」を理解しておく必要がありますが、この本ではその辺もしっかり扱ってくれていると思いました。大体、3から5%の子どもがこのカテゴリに診断される可能性があるというのであれば、クラスで落ち着きがない様な子どもたちはほとんどADHDになってしまいます。ひとたびADHDという枠組みで子どもを見るとその他の要因が見えにくくなってしまいますので、ADHDという視点にとらわれてしまわないためにも、この疾患の曖昧さを理解して奥必要があります。
自閉症スペクトラムとADHD
アスペルガー症候群などの自閉症スペクトラムから多動性、衝動性、注意欠陥を見ていくことができます。そのため、ADHD様症状に悩まされている子どもは、この領域の特徴を持っていることがあります。逆にADHDと両方を持っているという説明を読むこともあります。 今まで、この両者はどのような関連性、関係性を有しているかあまりしっかり理解していませんでしたが、この本で説明してある部分は参考になりました。また、この点において以下の本が参考になるようです。
教えて私の「脳みそ」のかたち―大人になって自分のADHD、アスペルガー障害に気づく 岡野 高明 花風社 2002-11 |
The ADHD-Autism Connection: A Step Toward More Accurate Diagnoses and Effective Treatments Diane Kennedy WaterBrook Press 2002-03-19 |
著者のダイアン・ケネディの子どもは三人男の子がいて、子どもたちがアスペルガーかADHD、または両方の診断を受けているという体験を元にこの分野のことをひもとこうとしているとのことでした。一度読んでみる必要性がありそうです。
ADHD側の資料でもアスペルガー側の資料でも名前が出てくる著名人にアインシュタインがいます。両方と見るべきなんでしょう。
リタニン(メチルフェニデート)の有効性
私は医師ではないので、この有効性についての情報をアクセスできませんでしたが、臨床的な経験と日本におけるリサーチの情報が紹介されています。そのリサーチでは、かなりリタニンの有効性が認められているということでした。その割には、処方してくれる医師があまりいないような気がしているのは、地域性の問題なんでしょうか?