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暴走する世間

社会構成主義をみていくとディスコースという概念に遭遇しますが、この言葉が意味するところは、日本の「世間」というもののに近いと感じていました。

ここでディスコースは、「社会的なやりとりがある場所において,固定的ではない状態にあるが,理解するための枠組みまたは意味の集まり」であり,すべての種類の社会的状況がどのように継続されるかを伝える「常識」と見なされている「思い込み」が含まれる。つまり,意味は決まっているものではなく,社会的な文脈で作られるものであるというものです。

日本には「社会」も「個人」も結局存在していなかったのではないかという前提に立ち、世間の役割や、それによって私たちがどのように振る舞い、考えるようになっているのかということは、理解できます。

著者たちのグループは、「社会学」ではなく「世間学」を推し進めています。

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佐藤 直樹

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内容で特に興味深く感じたところは、タテマエとホンネがあるために本来言葉の意味するところが失われ、「言葉の死」に直面しており、そのことは「ある種の全体主義」の到来の危機であるとしている点である。

私たちは、言葉の意味を厳密に詰めていくことができなくなるということだろうか?

もう一つ子どもの世界には「プチ世間」なるものの存在があり、子どもたちの人間関係に大きな影響を与えているという視点である。子どもは世間体に自分を照らし合わせて物事を判断する存在ではないかということである。

KYさん(空気が読めない人)がこれほどまでに異端視されるのもわかるような気がしました。人に合わせてなんか生きたくないという人は生きづらいですね。

著者の佐藤直樹さんが引用し、「世間学」の概念的な部分を頼っている阿部謹也さんの著作を紹介しておきます。私もこちらも是非読んでいきたいと思っています。

「世間」とは何か (講談社現代新書) 「世間」とは何か (講談社現代新書)alt
阿部 謹也

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