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読了「ナラティヴ,あるいはコラボレイティヴな臨床実践をめざすセラピストのために」

 以前に購入していたのですが、なかなかしっかりと読む機会を作ることができずにいました。今回やっと最後まで読むことができました。

 本書の大半は、逐語録です。その逐語録の合間に、著者の説明、クライエント役になった人からのフィードバックなどがあり、読者に、カウンセリングの場で何が起こっているのか、セラピストはどのような意図を持って話をしているなどについて解説するような体系になっています。つまり、ワークショップにおいて、そこで見せたセッションのビデオ、そして、その会場に来ている人たちとのやりとりをそのまま収録しています。

 まずはこのような書籍の試みを私は評価したいと思います。逐語録というレベルで、何が起こっているのかについて検討することは大切なことになるし、これを書籍という形で発表する可能性について興味を惹かれます。

 ただ、理論の説明という点に関しては、後付けでもよいので、もう少し体系的な説明が必要であったという気がします。

 

 さて、私のいちばんの関心は、この書籍の形式ではなく、「ナラティヴ」という名の元でおこなわれたデモンストレーションで、いったいどのような会話がおこなわれたのかということです。

 この点について、私は、この書籍に収録されている逐語録をうまく理解できないできます。そのため、うまくコメントできません。それは、私がある程度予測をつけている、あるいは目指そうとしている会話と差異を感じるからです。

 この差異は、セラピストがどのように尋ねているのかという点と、セラピストが用いる表現の文法様式に現れるのではないでしょうか。外在化する会話、脱構築する会話、問題からの影響をマッピングすることなど、デモンストレーションとしては、もう少しあってもよかったのではないかという気がします。

 ナラティヴ・セラピーを実践しようとするものとして、そのバリエーションを広くする試みについては、オープンな姿勢を保ちたいと思っています。その意味で、この書籍から学ぶ必要があるのですが、上で述べた差異について自分なりに考えていく必要がありそうです。

 

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