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読了「クレイジー・ライク・アメリカ」

「クレイジー・ライク・アメリカ: 心の病はいかに輸出されたか」

イーサン ウォッターズ (著), Ethan Watters (原著), 阿部 宏美

紀伊國屋書店 (2013/7/4)

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本書について

ここにこめた皮肉がわからないなら、はっきり説明しよう。グローバル化によって起こった心理的ストレスを改善しようとして、最新の欧米のメンタルケア理論を提供しても、決して解決にはならないのだ。なぜなら、それ自体が原因の一部でもあるからだ。

 

精神的あるいは心理的な状態像について、画一の基準を設け、文化や国を超えて適用することに対する警告の書です。

アメリカの基準が他の国に輸出され、それによって、その国々でその疾患が流行してしまうという現象について考察しています。それは、1.香港の拒食症、2.スリランカのPTSD、3.ザンジバルの統合失調症、そして、4.日本のうつ病です。

いかなる疾患も文化的な影響を受けているとは、このようなことを言うのだと、本書を読むと理解できると思います。

アメリカ人が書いているのですが、そのわりには文化的な側面をしっかり理解しようとしている点を評価したいです。

 

本書の示唆すること

アメリカ発のメンタルヘルスが、俯瞰的に見れば、人びとの役に立っていると見るべきではないということ。

特に、その疾患に対応する薬が発売されていて、背後に製薬会社が潜んでいる場合には特に用心が必要であるということ。

 

本書から専門家が自問自答しないといけないこと

自分がこの種の「輸出入」あるいは「流行」に加担しているのではないか?

目前の苦しんでいる人のためにしていることが、実は、全体としてはその流行を引き起こす一端を担っているのではないか?

 

香港で摂食障害が増加したことにより、厄介な事実が明るみに出た。ある文化で摂食障害が注目されるということ――隠れた教訓を理解し、その危険性を知らせようという自然な欲求が起こること――それ自体が、患者予備軍の注意を引くというフィードバックの連鎖を担うかもしれないというのだ。このような因果関係は、専門的な文献ではほとんど話題になっていない。当然のことだが、研究者やメンタルヘルスの教育関係者は、根絶したいと願う病気を広めているのがほかならぬ自分自身であるなどと考えるのを嫌がるからだ。(71〜72頁)

 

専門家、研究者は一読しておいてもよいのかと思います。読みやすいですが、チクチクと胸が痛くなるかもしれません。

 

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