翻訳書の紹介
自分が翻訳した本がもうすぐ出版される運びになりますので紹介します。
この書籍は、世界第二次大戦中、CIAの前身組織であるOSSが作成したマニュアルです。要は、敵に対して、一般市民がどのような活動ができるのかについて検討し、それをマニュアル化したものです。このような活動を、シンプル・サボタージュと呼んでいます。
歴史的な背景は、このようなものなのですが、実は、その内容がたいへん興味深いのです。 基本的に、敵組織に弊害をもたらし、敵を弱体化させるためのマニュアルなのですが、その内容が、日々の組織の中で、見受けられることでもあるのです。
ひとつ例をあげましょう。「何事をするにも『決められた手順』を踏んでしなければならないと主張せよ。迅速な決断をするための簡略した手続きを認めるな。」 このことが、敵に弊害をもたらすためのサボタージュとしてあげられています。
推薦のことば
つまり、過去の歴史的資料として楽しんで読んでいると、いつの間にか、今目前ある事象について理解できるようになります。その事から、ジャーナリスト/メディア・アクティビスト 津田大介氏が推薦の言葉を書いてくれたことにつながります。
日本の大企業や官僚制度が抱える問題の本質が
驚くほどわかる本書。
「あるある本」として笑いながら読んでいるうちに
やがて楽しさは空恐ろしさへと変わる。
越智啓太氏の解説
犯罪心理学を専門している、法政大学教授の越智啓太先生の解説もたいへん興味深いものでした。越智先生には、監訳と解説を担当していただいています。翻訳者として、みなさんよりもいち早くこの解説を読む機会を持つことができました。
こちらをまず読まれて、昔のマニュアルを読まれてください。
サボタージュ・マニュアル 諜報活動が照らす組織経営の本質 Simple Sabotage Field Manual
米国戦略諜報局(OSS):著, 越智 啓太:監訳・解説, 国重 浩一:翻訳
以下の文章は、版元ドットコムからの転載です。http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-7628-2899-7.html
紹介
CIAの前身組織が作成した「組織をうまくまわらなくさせる」ためのスパイマニュアル。「トイレットペーパーを補充するな」「鍵穴に木片を詰まらせよ」といった些細な悪戯から,「規則を隅々まで適用せよ」「重要な仕事をするときには会議を開け」まで,数々の戦術を指南。マネジメントの本質を逆説的に学べる,心理学の視点からの解説付き。津田大介氏推薦!
目次
解説 サボタージュ・マニュアル―――日本語版の発刊に寄せて
1 サボタージュ・マニュアルとは何か
■OSSとは何か
■OSSとサボタージュ・マニュアル
■サボタージュ・マニュアルとは何か
■なぜ、いまサボタージュ・マニュアルなのか
2 どのようにすれば、組織はうまくいかなくなるのか
■ホワイトカラーむけサボタージュ戦略
■形式的な手順を過度に重視せよ
■マックス・ウェーバーの「官僚制」概念
■ロバート・キング・マートンの「官僚制の逆機能」
■ともかく文書で伝達せよ
■・・・そして文書を間違えよ
■会議を開き、議論して決定させよ
■なぜ集まると集団のパフォーマンスが低下してしまうのか
■集団は個人の能力を封じ込める
■スペースシャトル墜落の原因も「会議」
■行動するな徹底的に議論せよ
■コミュニケーションを阻害せよ
■組織の危機自体がコミュニケーションの阻害を招く
■組織内にコンフリクトをつくり出せ
■集団維持機能をおろそかにする
■組織の注意を組織の外側に向けるな
■「黒い羊」効果を生じさせよ
■士気をくじけ!
■サボタージュ・マニュアルの現代的な意義
サボタージュ・マニュアル(暫定版)
1章 序文
2章 推定される効果
3章 サボタージュの促進
▼1 個人的な動機
▼2 破壊活動の推奨
▼3 安全な方策
4章 道具、標的、タイミング
▼1 一般的条件
▼2 武力攻勢前に
▼3 武力攻勢中に
5章 サボタージュに関する具体的提案
▼1 建造物
▼2 工業生産(製造)
▼3 生産(金属)
▼4 生産(鉱業と採鉱)
▼5 生産(農業)
▼6 交通(鉄道)
▼7 交通(自動車)
▼8 交通(水上交通)
▼9 コミュニケーション
▼10 電力
▼11 組織や生産に対する一般的な妨害
▼12 士気を下げ、混乱を引き起こすための一般的な工夫
あとがき