「Anti-oppressive practice」または「Anti-oppression」

“Anti-oppressive practice”という言葉の訳語を検討しています。

Wikipediaにはその項目が設けられており、この用語を次のように定義しています。

Anti-oppressive practice is an anti-oppressive social work practice theory. It seeks to acknowledge oppression in societies, economies, cultures & groups and aiming social work to remove or negate the influence of the oppression.

http://en.wikipedia.org/wiki/Anti-oppressive_practice

(社会、経済、文化、グループなどに存在する「抑圧(oppression)」を識別し、抑圧からの影響を取り除いたり、打ち消したりするソーシャルワークを目的とする)

 

次のブログでは、しっかりこの言葉を検討してくれています。その中で、次のように定義しています。

私は、南アフリカ留学中に anti-oppressiveソーシャル・ワークに関心を持つようになりましたが、oppression(抑圧)という概念を「不合理な力」というようなあいまいなとらえ方しかできておらず、いま一つとらえ難いという想いを抱いていました。
ところが、このシンポジウムに出てみて、抑圧というのは(少なくともanti-oppressive ソーシャル・ワークの文脈においては)、「社会的排除へと向かわせる不合理な力」というようにとらえられるのではないかと思いました。そのようにとらえられるのであれば、anti-oppressive ソーシャル・ワークというのは、「社会的排除へと向かわせる不合理な力」に対抗するソーシャル・ワークととらえられることになります。

社会的排除への実践的アプローチとしての anti-oppressive ソーシャル・ワーク

 

また、「共同研究の中間まとめ(anti-oppressive ソーシャル・ワークの概要)」では、「Critical Theory and Anti-Oppressive Practice」を参照し、次のように述べています。こちらもしっかりと書いてくれています。
anti-oppressive ソーシャル・ワークの特徴はいろいろありますが、実践の背景として見過ごされがちな構造的な問題に目を向け、アプローチしていくということをまず指摘することができます。たとえば、同書では次のように書かれています。
「構造的な不平等を際立たせること、構造的な不平等と個人のふるまいとのつながりを明らかにすること、個人とコミュニティに及ぼす悪影響に対抗するために人々を動員することは、ソーシャル・ワーカーが果たすべき重要な役割である。」(58頁)
ソーシャルワークからの引用だけになってしまいましたが、このようなことを教育に組み込むことも行われているようです。その場合には、「ANTI-OPPRESSIVE EDUCATION」という言葉を使っているようです。このサイトでは、「ANTI-OPPRESSIVE EDUCATION」を次のように定義しています。
Contradictions abound in education. Teaching involves both intended and unintended lessons, and it is often in the unintended, hidden lessons that racism, sexism, and other “isms” find life. Learning involves both a desire for and a resistance to knowledge, and it is often our resistance to uncomfortable ideas that keeps our eyes closed to the “isms.” Common sense does not often tell us that oppression plays out in our schools. But the contradictions in education make it impossible to say that oppression is not in some way affecting what and how we teach, despite our best of intentions. What might it mean, then, to teach in ways that challenge oppression?
The term “anti-oppressive education” is a very broad one that encompasses approaches to education that actively challenge different forms of oppression.
さて、肝腎の訳ですが、直訳すれば「反抑圧的実践」または「抑圧反対実践」あたりになりますが、検索をかけてみると、多く使われているのは前者の用語ですね。
翻訳本も出ていない領域ですね。
Anti-Oppressive Social Work Theory and Practice
Anti-Oppressive Social Work Theory and Practice Lena Dominelli

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