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今まで語ったことのない領域への誘い

ナラティヴ・セラピーの会話において、問題解決とかという次元ではなく、今まで語ることができなかったようなことを語る機会を提供できることが大切なのだと思います。

時に、これだけ日常的に会話を繰り返していながら、「このようなことを始めて話しました」といわれる人がいます。これは、いかに日常の会話がある種の語りを抑制していることをうかがい知ることが出来ると思います。

今まで日常的に会話をしてきたことについて、質問を受けても、相手にとってそこに目新しさがないはずです。それは、カウンセラーに情報を提供するという次元の会話になってしまっています。

一方で、自分で話していながら、なぜ自分がこのように語るのだろうかわからないまま、いつもと違ったことを語ることがあります。そこでの会話は、話している人にとっても目新しい領域なのです。そこで、語ったものの意味がどのようなことか自分でも定かではなく、その意味をカウンセラーと一緒に確認しながら進む必要のある領域です。カウンセリングによって相手に変化をもたらしたいのであれば、そのような領域に相手を誘う必要がある、と言い換えることもできます。

この領域に関する質問とは、相手にとってもしっかりと見えていないところを探るように促す質問なので、質問自体がどんなことかどうでもよくなり、その人が未知の領域を探ることに集中することになります。

一連の会話の中で、あるクライアントが、会話の後で見ている風景が違っています、と語ってくれた人がいました。そして、その途中で何を質問されたのかさえ覚えていないのです。

そのような質問を投げかけたいのです。そして、そこは、誘導されたものではなく、本人が自分で未知の領域を探し当てたという体験につながると思っています。それが、本人のエイジェンシーを十分に引き出せる場でもあると思うのです。

 

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